西洋医学と東洋医学の違いのお話 ~気の概念~①
今回は、先日の東京セミナーでも講演した東洋医学の話をします。
西洋医学と東洋医学の大きな違いのひとつに「氣」の概念があります。
西洋にはもともと「氣」に相当する言葉がありません。なので西洋医学は「氣」を考慮に入れていないのです。
でも実際は“元氣”という言葉にも使われているように私たちの健康を表す言葉として欠かせません。
例えば『疲れやすい』かどうかは血液検査をしても分かりません。
(漢方的には『疲れやすい』ことを『氣虚』と呼び、その原因に応じて漢方を使い分けています)
また、楽しいことがあったり、何かに打ち込んで一生懸命になっていると氣の流れもよいですが、ストレスがかかったり、気になることや不安になることがあると、気の流れが悪くなり『気滞』をおこしてきます。
そうすると、腋腹(わきばら)にかけて張ったような痛みが出たり、のどがつまったり、頭痛になったりします。
西洋医学では、
胃痛 → 内視鏡で検査 → 胃酸をおさえるくすり
と決まっていますが、漢方的にみると気滞をとり除くことでずーっとよくなります。
また、みぞおちがつまると心臓がドキドキしたり、胸苦しくなったりと連鎖反応をおこしてくることもありますが、これらも『気滞』の概念が分かっていて、それに対応する漢方をいれることで良くなっていくわけです。
このように氣の概念はとても大切です。
著者紹介
松本有記クリニック院長
自身が何十年にわたる体調不良に悩まされ、健康を追及していくなかで、東洋医学と出会い、オリジナルのオーダーメイド漢方薬、サプリメント、メディカルストレッチなど、全て自身が効果を実際に体感し、結果を出すことをモットーに、独自の治療スタイルを確立。生活習慣から姿勢指導、心のもち方まで幅広い角度からの診療を行っている。京都薬科大学卒業、神戸大学医学部卒業、兵庫医科大学病院(皮膚科/内科)、県立尼崎病院東洋医学科(非常勤)、尼崎永仁会病院漢方専門外来、松本有記クリニック院長