ずっと健康を求めた人生 ②
正直、寝ているのが一番幸せ、朝は起きたくない、何かあったらすぐ休憩したい、横になりたい、といつも思っていました。
まわりの人たちが、毎日の外出や用事を軽快にこなしているのを、とても信じられないという思いで眺めていました。
実家が薬局だったもので、薬学部へ行きましたが、その間もずっと体調はわるいまま…。
そんなあるとき、フッとしたひらめきがおりてきて、医学部へ行く、ということになりました。
「えっ私が医学部…??」と自分でも何が何だかわかりませんでしたが、何か不思議な力に押されるようにして、医学部に行こう、と思ったのでした。
そして、1年間勉強しなおして、医学部へ入りました。
医師になって、私がまず最初にやりたかったのは、“自分を治す”こと。
はじめは自分自身で、「自分のような症状に効くとされる西洋医学の薬」を片っ端から試しました。
「これで治せる…!」と意気込んで、次から次へと薬を試しました。
ところが、実際には、まったく改善はみられませんでした。
それどころか、副作用が出だして…愕然としました。
私が医学部で学んできたことはいったい何だったのだろう、何も治せていないじゃないか、と…。
そこで、西洋医学の薬に失望した私が次に手を伸ばしたのは、漢方薬でした。
現在、日本で漢方と言えば、一般的なのはエキス漢方(顆粒状になった、既製品の漢方薬)です。
メーカーからあらゆる種類のエキス漢方を持ってきてもらい、今度こそはよくなるはずと思って、色々な角度から、片っ端から試していきました。
すると、はじめは少し、調子がよくなるものもありました。けれど、それも長続きはせず、結局すぐにそのうち効かなくなってしまったのです。
さらに、種類によっては、続けて飲むと、胃の調子がわるくなることもありました。
「いったいどうすれば体が楽になるのだろう…?」
「神様はこんなにたくさんの病気をつくったけれど、治す薬は忘れてしまったのだろうか…?」
もう、自分が健康になるなんて、諦めるしかないのだろうか…と思った時期もありました。
著者紹介
松本有記クリニック院長
自身が何十年にわたる体調不良に悩まされ、健康を追及していくなかで、東洋医学と出会い、オリジナルのオーダーメイド漢方薬、サプリメント、メディカルストレッチなど、全て自身が効果を実際に体感し、結果を出すことをモットーに、独自の治療スタイルを確立。生活習慣から姿勢指導、心のもち方まで幅広い角度からの診療を行っている。京都薬科大学卒業、神戸大学医学部卒業、兵庫医科大学病院(皮膚科/内科)、県立尼崎病院東洋医学科(非常勤)、尼崎永仁会病院漢方専門外来、松本有記クリニック院長