ウィルス対策としての漢方①「風邪かな?」と思った時は
連日テレビで新型コロナウィルスの感染の拡大が伝えられ各イベントがキャンセルになり人の集まりを防ぐために学校は休校、家にいて外出を避けるようになり社会活動の制限で経済にも深刻な影響を及ぼし始めています。
一方アメリカではインフルエンザで今シーズン1万2千人~3万人の死者、罹病者2,200~3,100万人。2017~2018年には死者6万1千人。しかもいつも元気だった人がインフルエンザにかかって急に亡くなったりと、予測不能な事態だそうです。
でもテレビで見る限りマスクもしていないしマスコミもそれほど騒いでいません。実際カリフォルニアに住む日本人女性によると、毎日ラジオをきいているが新型コロナウィルスのことばかりでインフルエンザでこれほど死者が出ているのを知らなく、日本のメディアで初めて知ったそうです。 何か変ですよね…?!
初期症状と漢方の服用
インフルエンザにしても(たぶんコロナウィルスも?)初期は普通の風邪のような症状から始まるので初期のまだウィルスが増殖し始めている時に手を打つことが大切なのです。
当院では皆さんに漢方の風邪薬を常備してもらい「風邪っぽいかな?」と思ったらすぐに服用するように勧めています。(時間がたつとウィルスが増殖してしまうので、それだけ抑えがききにくくなります。)初期の段階で1包から3包飲んだだけで効果が出る場合もありますが、本人の身体の状況次第でもう少しかかる場合もあります。
ウィルスが増殖しにくい体内環境をつくる漢方
処方する漢方はハンディーなエキス漢方(粉薬)です。本来はその時の気候(寒いか、暖かいか、乾燥しているか、湿度が高いかなど…)とその人の体質(弱いか強いか、のどの粘膜が乾燥しているか潤っているか、鼻水や痰は出ているか、熱化しやすいか、冷えやすいかなど…)を掛け合わせて最も合うものを選ぶのですが、予備だとなかなか細かくは無理なので、最大公約数的に、その人のタイプを考慮して1~3種程の漢方を選びミックスしてお渡ししています。
水際対策としての漢方
それこそ初期対処するのは、いわゆる水際作戦と同じでウィルスが定着しにくい環境を、漢方の力を借りて作るというイメージです。
具体的に名前を挙げると
- 銀翹解毒散(ギンギョウゲドクサン)
- 荊防敗毒散 (ケイボウハイドクサン)
- 清上けん痛湯(セイジョウケンツウトウ)
- 川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
- 板藍根(バンランコン)エキスetc.
残念ながら保険が適用される範囲の中から選ぶのは難しいのです。というのも保険がきくもので有効なのは、葛根湯や小青竜湯(ショウセイリュウトウ)、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)などですが、どれも麻黄が入っていて無理やり体の表面にエネルギーをもっていくので胃の調子が悪くなったり、交感神経が上がって眠りにくくなったりなど注意が必要です。麻黄湯をインフルエンザの初期症状に使うこともありますが、今年のような明らかな暖冬の場合は注意が必要です。
次回は、昔と今の漢方処方の違いや漢方の煎じ薬を飲むタイミングについてもお話していきたいと思います。
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