漢方の煎じ薬と粉薬の根本的な違い
こんにちは、スタッフの牧です。
今日は漢方を理解する上でとても大事な、漢方薬の煎じ薬と粉薬、またそれぞれの得意不得意な点などについてお話ししたいと思います。
漢方の煎じ薬とは
そもそも漢方薬のルーツをたどっていくと、粉ではなく煎じ薬にあります。植物の葉・茎・根、動物や鉱物だったり、ありとあらゆる種類がありますがそれらを乾燥したり刻んで加工したものを生薬と呼んでいます。更にその中から診察時に患者さんお一人おひとりの体質・症状等に一味一味を合わせ、お出ししているのが煎じ薬となります。
漢方の煎じ薬は体質や症状に合わせて微調整できるけど手間がかかる
煎じ薬は毎日煎じなければいけなかったり、ご旅行などで持ち運びする場合が若干難しいのですが、その人の体質やタイプ、その時の症状に合わせて種類も量も微妙に調整できる点と、スローパンチの様にじわじわ効かせていけるのが煎じ薬の持ち味で得意分野だと思います。
もう数年前にはなりますが、当院に生薬を卸してくださっているメーカーの方が、自分で煎じるのは確かに面倒だけどその手間暇も含めて自分を治していくプロセスではないかと昔はよく言われてたんですよ…という様なことをおっしゃっていて、(確かに…)と思ったことがあります。
漢方の粉薬は手軽だけど配合調整がしにくい
逆に粉薬は処方があらかじめ決まっているので、細かな調整ができないのが難点です。有名なところで言えば葛根湯を例にして言いますと、この中には葛根、麻黄、桂皮、生姜、芍薬…などが入っています。例えばこの患者さんには必要というものが中に入っていなかったり、逆に入ってない方がいいものが入っている場合もあるのです。
漢方の粉薬は一回分づつを個包装されたものを処方します
漢方の粉薬は便利な分注意が必要な場合もある
風邪薬といっても様々な粉薬がありますが、この葛根湯も含めてよく麻黄が中に入っています。麻黄の利点も確かにありますがその反面、コーヒーのような覚醒作用もあるので元々眠りにくいタイプの人については夜に飲むと眠れなくなってしまうケースも中にはある様なので飲むタイミングには注意が必要です。
上記のように粉薬は処方する際にどうしても制限が出てしまいますが、利点としては持ち運びしやすく、煎じなくてもすぐに飲める利便性があります。
「煎じ薬は豆から挽いたコーヒー、粉薬はインスタントコーヒー」と言えます。
次回はわたし、牧が実際にインフルエンザに罹った時に助けられた煎じ薬についてもお話したいと思います。