テクノロジーの進化から考えるゲノム編集食品
最近のテクノロジーの進化には目を見張るものがあります 。
私の小さかった頃は、テレビも冷蔵庫もなく、電話は交換手を呼び出してかけていました。
その頃と比べると、信じられないくらいすっかり世の中が便利に変わってしまいました。
その変化の流れはまだまだ続いていて、とどまることを知りません。
思えば、私は小学校一年生のころは、お風呂を沸かすのに木や新聞紙などを丸めてくべていた、いわゆる五右衛門風呂でした…!
私は、子どもながら内心、「なんて原始的なことをしてるのだろう。こんなのボタンひとつ押せばお湯を沸かせるのに」と思ったものでした。
でも後で考えてみると不思議です。当時どこを見渡しても、そんなボタンで湯沸かしなんてことをしているところはありませんでした。
今の時代は当たり前のことですが、当時は誰もおよびもつかないことでした。
なぜ私はそう思ったのかしら…?
ひょっとして、何十年後の未来をすでに知っていたのかもしれません。
これからも人類はテクノロジーの進化を止めることはありません。
便利になって恩恵に服すこともいっぱいあるのですが、なかには営利目的で、生命の存続をも脅かすことになりかねない分野までも踏み入っている部分もあり、ひやひやします。
その一つが、ゲノム編集食品です。
ゲノムとはすべてのDNAのこと。そのゲノムを自由自在に編集することをゲノム編集といっています。
生命体はバランスで成り立っているのですが、例えば体を大きくする遺伝子と、大きくなり過ぎないよう抑制する遺伝子があり、大きくする遺伝子を壊すと、小さいままの動物が誕生し、逆に抑制する遺伝子を壊すと成長が早くなり、肉の多い家畜をつくることができます。
すなわち、ゲノム編集技術は DNAを切断するという荒っぽい方法で、生命体の遺伝子を壊してしまったり、また代わりに新たな遺伝子をつくることも可能になってしまうという技術なのです。
例えば、ネズミの皮膚の遺伝子を壊し、人間の皮膚を作る遺伝子を挿入すれば、ネズミの皮膚は人間の皮膚ということになります(!)
動物だけでなく、魚類、作物などに、これからゲノム編集技術はどんどん応用されていくでしょう。
テクノロジーを進化させる分、その裏付けとして、私たちには道義心やモラル、哲学といった、善意に基づいた高い視点から地球を守っていく揺るぎないものが必要です。
その裏付けがないのに、技術だけが独り歩きする時、気がつくとコントロールのきかない世界になっている危険性があります。
私は、美しい地球を継承していくことにテクノロジーを使っていってほしい、と切に思います。
著者紹介
松本有記クリニック院長
自身が何十年にわたる体調不良に悩まされ、健康を追及していくなかで、東洋医学と出会い、オリジナルのオーダーメイド漢方薬、サプリメント、メディカルストレッチなど、全て自身が効果を実際に体感し、結果を出すことをモットーに、独自の治療スタイルを確立。生活習慣から姿勢指導、心のもち方まで幅広い角度からの診療を行っている。京都薬科大学卒業、神戸大学医学部卒業、兵庫医科大学病院(皮膚科/内科)、県立尼崎病院東洋医学科(非常勤)、尼崎永仁会病院漢方専門外来、松本有記クリニック院長