ずっと健康を求めた人生 ③
あらゆる薬による治療を試したものの、結局、自分の体調すら治せないまま、半ば諦めかけていたとき、運命的な出会いが訪れたのでした。
それが、台湾の老中医(=ベテランの中医学の医師)がつくってくれた煎じ薬でした。
とある企画で、知人たちと台湾を訪れた私は、現地のベテラン中医師の先生に診察してもらい、漢方薬の煎じ薬(※生薬を煮詰めて飲む、元来の漢方薬)を処方してもらうことになりました。
その先生は、私の顔色や舌や脈などを診て、私個人の体質・体調に合わせて、ひとつひとつ必要な生薬の種類と量を選び、オリジナルの煎じ薬を処方してくれたのです。
ブレンドしてもらった生薬は、当時の値段で1日2000円(!)もしました。けれども、それまで日本では見たこともないくらい、立派で美しい、高品質の生薬でした。(ボリュームもたっぷりで、1日分を半分ずつにして煎じることにしたくらいです。)
そして、処方された煎じ薬を飲んでみると…
これが、それまでの私の人生の中で初めて、とてもよく効いたのです!
目から鱗が落ちました。
その人の体質に合わせてつくる漢方薬というのが、こんなに効くなんて…。
「こんな世界があったのか…!」と感激しました。
そのときの私は知りませんでしたが、本来は、そうして1人1人の体に合わせたオーダーメイドの処方を組み立てることこそが、中医学の“漢方処方”というものだったのです。
これだ!ついに、体を改善してくれるものに出会った!と、
それからは、私自身、医師として、漢方薬の本格的な処方の世界に、のめり込んでいきました。
著者紹介
松本有記クリニック院長
自身が何十年にわたる体調不良に悩まされ、健康を追及していくなかで、東洋医学と出会い、オリジナルのオーダーメイド漢方薬、サプリメント、メディカルストレッチなど、全て自身が効果を実際に体感し、結果を出すことをモットーに、独自の治療スタイルを確立。生活習慣から姿勢指導、心のもち方まで幅広い角度からの診療を行っている。京都薬科大学卒業、神戸大学医学部卒業、兵庫医科大学病院(皮膚科/内科)、県立尼崎病院東洋医学科(非常勤)、尼崎永仁会病院漢方専門外来、松本有記クリニック院長